-\endnote{3字下げ}第一日曜\endnote{「第一日曜」は中見出し}
+\section*{第一日曜}
オツベルときたら大したもんだ。\Ruby{稲扱}{いねこき}器械の六台も\ruby{据}{す}えつけて、のんのんのんのんのんのんと、大そろしない音をたててやっている。
十六人の\ruby{百姓}{ひゃくしょう}どもが、顔をまるっきりまっ赤にして足で\ruby{踏}{ふ}んで器械をまわし、小山のように積まれた稲を片っぱしから\ruby{扱}{こ}いて行く。\ruby{藁}{わら}はどんどんうしろの方へ投げられて、また新らしい山になる。そこらは、\ruby{籾}{もみ}や藁から\ruby{発}{た}ったこまかな\ruby{塵}{ちり}で、変にぼうっと黄いろになり、まるで\ruby{沙漠}{さばく}のけむりのようだ。